システム開発やWebサービス開発に携わっていると、「インフラ」という言葉を毎日のように耳にすると思います。
しかし、「インフラって、具体的にどこからどこまでの範囲を指すの?」、「インフラエンジニアとサーバーエンジニア、ネットワークエンジニアって何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、インフラの定義は人や組織によって少しずつ異なり、さらに近年のクラウド(パブリッククラウド)の普及によって、その境界線や求められる役割は大きく変化しています。
この記事では、インフラ領域におけるエンジニアの役割分担から、現代のインフラに必須の知識であるクラウドサービス(IaaS / PaaS / SaaS)がもたらした変化まで、初心者向けにわかりやすく解説します!
🛠️ なぜエンジニアの「分担(役割の分割)」が必要なのか?
システム開発は非常にやることが多く、かつそれぞれの技術領域が深く複雑化しています。そのため、一般的にはインターフェイス(境界線)によって領域を分割し、複数人で分担して担当するのが効果的です。
専門家がそれぞれの領域に集中することで、複雑なシステムを安全かつ効率的に構築・運用できるようになります。
まずは、身近な「エンジニアの分類」から見ていきましょう。
1. 〇〇エンジニアの多様化
最も一般的なのが、担当するリソースや技術スタックによる分類です。
- フロントエンドエンジニア: ブラウザ上で動く画面やUIを主に担当。
- バックエンドエンジニア: サーバー側のロジックやデータベース、APIなどを主に担当。
そして、彼らのアプリケーションが動作するための土台を作るのがインフラ領域のエンジニアです。インフラの中も、さらに以下のように細分化されています。
- ネットワークエンジニア: ネットワーク階層(ルーター、スイッチ、回線、IPアドレス設計など)を主に担当。
- サーバーエンジニア: OSの選定やセットアップ、システムライブラリ、アプリケーションが動作するランタイム環境(Node.jsやPythonの実行環境など)までを主に担当。
同じサーバーエンジニアの中でも、OS(Linuxカーネルなど)を最大限活用することに特化した人や、OS自体をコーディングする(書く)ことに特化した人など、さらに細かく専門性が分かれることもあります。
🧭 「フルスタック」と「フルサイクル」の違い
分業が進む一方で、それらを横断・縦断するアプローチを持つエンジニアも登場しています。
- フルスタックエンジニア: インフラからフロントエンドまで、技術スタック全体を「縦断」する専門性を持つことを志向するエンジニアです。
- フルサイクルエンジニア: 設計・開発からテスト、デプロイ、運用、サポートまで、開発サイクル(ライフサイクル)全体を「横断」して担当することを志向するエンジニアです。
🌐 結局、「インフラ」ってどこからどこまで?
結論から言うと、コンピューターシステムにおける「インフラ」が具体的にどの階層を指すのか、業界全体で合意された厳格な定義はありません。
求人サイトの募集要項や一般的な企業の解釈を見ると、多くは「ハードウェア(物理的なサーバーマシンや配線)からアプリケーションランタイム(実行環境)まで」を守備範囲と想定していることが多いです。
しかし、現場の実感値としては次のような考え方が広く浸透しています。
💡 「自分の担当階層から下はすべてインフラ」
例えば、フロントエンドエンジニアから見れば「バックエンドの動くAPIサーバー」もインフラの一部に見えることがありますし、バックエンドエンジニアから見れば「データベースサーバーやOS、コンテナ環境」がインフラに見えます。このように、開発者それぞれの立ち位置によって「どこから下をインフラと呼ぶか」が変わるのが特徴です。
☁️ クラウドの登場と「インフラエンジニア」の変化
現代のシステム構築において、自前で物理的なサーバーを購入してデータセンターに設置する(オンプレミス)ことは少なくなり、パブリッククラウド(AWS、Google Cloud、Azureなど)を採用することが最優先の選択肢(ファーストチョイス)となっています。
この「クラウドファースト」の時代において、インフラエンジニアの役割は大きく変化しました。
- パブリッククラウドの活用能力が必須に 物理マシンの管理が減った代わりに、クラウド上で仮想サーバーやネットワークを効率的に構築・管理するスキルが最重要視されるようになりました。そのため、最近ではクラウドエンジニアと呼ばれることも多くなっています。
- IaaS・PaaS・SaaSという区分の理解が重要に クラウドサービスは、「どの階層までクラウドサービスプロバイダー(AWS等)が面倒を見てくれるか」によって以下の3つのジャンルに分かれています。
| ジャンル | 正式名称 | クラウド事業者が担当する範囲 | ユーザー(自分たち)が担当する範囲 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| IaaS | Infrastructure as a Service | ハードウェア、ネットワーク、仮想化レイヤーまで | OS、ミドルウェア、アプリケーション、データ | 自由度が最も高いが、OSのセキュリティ管理やアップデートの運用負荷がある。(例: AWS EC2) |
| PaaS | Platform as a Service | ハードウェアからOS、ランタイム環境まで | アプリケーションコード、データ | インフラ(サーバー管理)を気にせず開発に専念できる。(例: AWS App Runner, Heroku) |
| SaaS | Software as a Service | アプリケーションを含め、すべてのレイヤー | サービスの設定、ユーザーデータのみ | 完成されたソフトウェアをそのまま利用する。(例: Gmail, Slack) |
どのジャンルを採用するかによって、自分たちが管理すべきインフラの範囲(=セキュリティの責任範囲や運用の手間)が変わるため、システムの要件に合わせてこれらを適切に選択・設計することが現代のエンジニアに求められています。
📝 まとめ
- システム開発を効率化するために、役割を「階層化」して分担する。
- 「インフラ」の厳格な定義はないが、基本的にはハードウェアからランタイム(実行環境)までを指し、「自分の担当する層より下」がインフラとみなされやすい。
- 現代はパブリッククラウドが主流となり、インフラエンジニアにはクラウドを活用した設計能力が求められる。
- IaaS・PaaS・SaaS の違いを理解し、「どこまでを自分たちで管理し、どこからをクラウド事業者に任せるか」を設計することが重要。
自分がどの領域を担当するにしても、隣の領域やその下のインフラ層がどのように動いているのかを知っておくことで、トラブルシューティングや設計の視野が大きく広がります。ぜひこの「階層化と分担」の考え方を意識してみてください!
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